続5 印刷工場探検隊!

さて、今回は印刷機をコントロールする場所を紹介します。


 

これまで印刷機や刷版、インキなど印刷に必要な要素をお伝えしてきたけど、今回はそれらをつかってオペレーターがどうやって商品(印刷物)をつくっていくかという場所です。

 

今では当たり前になっているオペレーションスタンド(コントロールパネル)ですが、一昔前では、そんなにデジタル化が進んでいなかったので、全てが手動と目視と感覚ですべてが行われていたといっても過言ではありません。

 

そんな時代を少しは経験した私としては、なんて楽になったんだ・・・と、最近の印刷を見るたびに思ってしまいます。



 

さて、印刷オペレーターの印刷技術を語る上で重要なことといえば、


 

1)見当合わせ(カラーであればCMYK4色)と表裏の見当合わせ(用紙の表と裏の印刷位置の精度)

 

2)濃度のコントロール(狙った濃度に一定して印刷できるか!)

 

3)汚れやキズなど印刷不良をどこまで無くせるか!

 

4)どこまで綺麗な印刷物をつくれるか(網点のシャープさ・ベタがしっかりのっているかなど)

 

5)刷のコントロールとスピードを並行して行えるか

 

6)印刷のトラブルをいかに早く気付けるか

 

7)印刷機の調整をどこまでしっかりできているか



 

などでしょうか・・・(個人的な見解がかなり多いですが・・・)

といことで印刷のコントロールする操縦桿のような場所が、このオペレーションスタンドということです。

簡単に印刷の流れをいうと、版をはめて、用紙をセットして、給紙して、用紙に印刷された現物を見て、見当を合わせるというのが、最初ですね。

 

オペスタ1.jpg






















当然、ルーペをつかって目でズレを確認します。

 

4色の見当にズレがあるときは、どうやって合わせるのか?というと、オペレーションスタンドのデジタルパネルで、版の位置を変えるんですよ。

 

ずれているユニットにいって、調整をする必要はなし!(一昔前は違ったんですけどね)

 

さらには濃度のコントロールもここで行います。

 




印刷物の濃度をこのスタンドについている測色計で計測し、現在の濃度と狙いの濃度の誤差を表示してくれたりもします。

オペスタ2.jpg




オペスタ3.jpg









印刷の重要な要素である水のコントロールもここで行います。

 

すごいですよね。つまりオペレーターは印刷する時の大半は、このオペレーションスタンドにいることになるんです。

 

だけど・・  このようにデジタル化が進んで、楽になるとヒトの技術が落ちていくのでは・・と本当に危惧しています。機械は楽をさせてくれるように進化していますが、判断するのはヒトですから! 

 

きっとものづくりの真骨頂として、ヒトの技術・知識と機械の進化の共存が良い製品を生み出していくのかなとつくづく思います。

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印刷で必要なものはなに? パート3

 今回は刷版(さっぱん)についてのお話しです。


刷版とは、

三省堂 大辞林では・・・主として平版印刷で,実際の印刷に使用

印刷関係用語集では・・・下版されたフィルムを焼き付けたPS版などの版。焼き付ける作業。

紙器関係専門用語辞典では・・・刷版とは印刷を行う際、印刷機に直接取り付けられるアルミ板のこと。製版後にポジやネガフィルムを版となる感光性の溶剤が表面に塗られたアルミ版に密着させて感光、焼き付けて作成する。その感光して凸になった部分にインキが付くことにより印刷される。

 

なんて、難しい説明でしょう。これを読んでみて、あぁ
なるほど!と思った型はすぐ

にでも印刷会社に勤められるのではないでしょうか。

 

では、どこまで簡単に説明できるか分かりませんが頑張って書いてみます。

あくまでオフセット印刷ということでいきますね。

 

版は主にアルミの板です。業界的にはPS版といっています。

この版にインキをつけて、版とブランケット(ゴム胴)が当たって転写され、ブランケ

ットから紙面に印刷されるという流れですね。

つまりカラー印刷の場合は最低でもCMYK4色が必要なので、4枚の版が使われる

ということです。それぞれの版には絵柄が写っています。

この絵柄を写す方法を説明するのが少し難しいですが、PS版には感光剤が塗布してあっ

て、紫外線やレーザー光などで感光させて現像をすると、画線部は親油性、画線以外の

部分は親水性の異なる性質を持つようになります。 不思議ですね・・・

 

ちなみにひと昔まえまで(私が入社した時)はネガかポジのフィルムを出力して、PS

に貼り付けて、焼付作業をして、現像液につけて、ガム引きして・・・なんて作業をして

たんです。

写真屋さんを彷彿させますね。

時代も変わり、今ではCTPというデジタルデータを出力機に送るだけで、刷版が出てくる

という時代になっています。

さぁ 先ほど、画線部は親油性、画線以外の部分は親水性の異なる性質を持つということ

を書きました。ここが重要でオフセット印刷の肝となる部分です。

 

オフセット印刷は水と油の反発を利用して印刷しています。

インキは油です。つまり画線部にはインキがつくのです。もう少し説明すると、インキを

つける前に版に水をつけます。 すると画線部以外は親水性が高いのでそこには水が残

ります。その状態でインキをつけると、インキは水にはじかれて画線部の親油性の高い

部分についていきます。この原理が版面で高速で行われて印刷されているのです。

 

でも、最近では水なし印刷という技術も出てきています。この技術は私も体験したことが

ないのですごく興味があります。

 


ということで、パート4は徐々に必要でなくなってきた『水』について説明するよ。


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