今回は「水」に関する話です。
オフセット印刷における重要な要素の最後は、『水』です。
刷版のときに少しふれましたが、
1)親油性・親水性という性質を版にもたせること
2)水と油は反発するという原理をいかすこと
を使うということは、『水』が必要になってきます。
ただし、ただ単純に水道水を使うというわけではなく、非画像部が水と親しみやすくなるように化学変化(親水化)させる効果を持たせる必要があります。そのため、水に給湿液(エッチ液)を添加して刷版非画像部を親水化する水を作ります。
他にはアルコールを添加したりしますね。これは水の粘度が上げられるため、少ない水の量で版面上により薄い膜厚で濡らす効果がでます。オペレーターとしては水を絞ることができるので、思わず添加したくなりますね。
ではこの『水』=『湿し水』ですが、やはり管理が必要です。
印刷オペレーターの中では水のコントロールの良し悪しでオペレーターの腕がわかると言われる程です。
吸湿液の添加料(水との比率)やペーハー値(PH)は特に重要ですね。
印刷でのペーハー値は弱酸性が良いと言われています。中性はPH.7なので、PH.6ぐらいを狙うように水をつくることが大事ですね!
ところが印刷をしていくと、このPH値が変わっていくんです。
これは印刷の際にインクと水が混ざるので、インキや紙のカス(紙粉)、紙のアルカリ成分が徐々に水に入っていきPH値を変えていくようです。
ですが、ここはオフセット印刷300年の歴史が徐々に改善していきます。
今では、これらの諸問題に対応していくH液などの開発や、水のタンク内を浄化する装置の開発も進み、今では水なし印刷という技法もあります。
さあ、印刷はデジタル化が進み、無版印刷や水なし印刷、オンデマンド印刷による可変な
ど様々な革新が進んでいます。次は何でしょう。もしかしてオペレーターとして屈辱的な無人印刷なんてことになるんでしょうか?