抗菌印刷が何かご存知ですか?詳しくご紹介します!

O157の集団食中毒事件やお風呂のレジオネラ属菌問題など細菌にまつわる問題が多発している中、消費者の間で安全志向・清潔志向は高まっています。

最近では水周りの製品や衣料の他にも抗菌加工された製品が続々と開発されており、印刷物もその製品の一つといえるでしょう。
そこで今回は、抗菌印刷について詳しくご紹介します。

◻︎抗菌印刷とは?

大腸菌や黄色ブドウ球菌、結核菌といった細菌はさまざまな場所で繁殖します。
人の体にも多くの細菌が存在しており、皮膚や腸の中の環境を保っていますが、これらの細菌は人体に悪影響を及ぼすこともあります。

そのような細菌からの防衛策として、人が接触しやすい製品には抗菌加工が施されるでしょう。

「抗菌」とは製品の表面上における細菌の増殖を防ぐことを示します。
つまり、菌が住みにくい環境をあらかじめ作ることを意味します。
直接的に菌を死滅・除去する「殺菌」や「除菌」とは異なるものであることに注意しておきましょう。

殺菌とは言葉のとおり、菌を殺すことで、菌の数が減った場合に殺菌と言えます。
また、除菌とは菌を取り除くことで、手洗いや食器洗いを除菌と言います。
このように抗菌は、殺菌や除菌とは異なるものになるので、その点はしっかり把握しておきましょう。

したがって「抗菌加工」とは菌が住みにくい環境を製品表面上に作ることですが、一方で、抗菌加工が施された印刷物のことを「抗菌印刷」と言います。

カタログやパッケージといった印刷物に、抗菌剤入り印刷用インキで表面をコーティングすることで抗菌加工を施します。
この加工によって、大腸菌やブドウ球菌といった細菌の増殖を、大きく抑制できるといった特徴があります。

抗菌印刷も技術が確立する前は、抗菌技術を適用して、印刷素材そのものに抗菌剤を練り込むという方法がとられていました。
しかし、この方法では印刷代が高く、インキがその上を覆うために抗菌機能を弱めてしまうという欠点があります。

抗菌印刷では、表面に抗菌剤入りの印刷ニスをコーディングしているため、従来の方法に比べて抗菌機能は格段に上がっています。

◻︎抗菌印刷の効果とは?

抗菌印刷には優れた抗菌力があるといった特徴の他に、さまざまな特徴を持ちます。
例えば、抗菌ニスが塗布されていることで光沢が増し、汚れや摩擦に強くなり耐光性なども増します。
さらに、インキの臭いを抑える防臭や防虫、防カビといった点でも効果を発揮します。

また、以上のような効果に加え、信頼性が増すことも一つのメリットと言えるでしょう。
抗菌加工を施すと、SIAAのJISマークを表示できます。
SIAAマークとは特許技術番号や世界基準である国際規格認証のマークです。
抗菌性、安全性、適切な表示といった点で信頼性があるでしょう。

このマークが表示されている製品は抗菌加工されていない製品の表面と比べて、細菌の増殖割合が百分の一以下であり、耐久性試験後も抗菌効果が確認されます。

また、安全性といった面でも、飲んだときの有害性、長く触れたときの炎症、遺伝子への影響、アレルギーといった経口毒性、皮膚一時刺激性、変異原性、皮膚感作性を観点とした各種安全試験をクリアしている証拠になります。

抗菌剤の種類や加工部位が明示されていることも保証するので、このマークを表示しておくことは競合品との差別化を図り、企業やお店のイメージアップにもつながるでしょう。

以上のようなさまざまなメリットが抗菌印刷にあります。

◻︎抗菌加工製品の注意点とは?

抗菌加工製品で注意すべきポイントの一つは、過信しすぎないということです。
「抗菌加工なので、少しぐらい汚れても大丈夫」と考え、汚れをそのままにしておくのは危険です。

表面が汚染物に覆われた際には、抗菌効果は十分に発揮できません。
したがって、抗菌加工製品でも常に清潔に保つ必要があるでしょう。

また、抗菌加工が抑制する細菌の増殖の範囲を確認しておくことも一つのポイントです。
抗菌加工製品は表面の細菌の増殖を抑制するのみで、それ以外の細菌を死滅させるわけではありません。
したがって、皮膚表面の常在菌に対する効果や自然界の微生物に影響を及ぼすものではないことに留意しておきましょう。

また、パンフレットや冊子といった紙製品に加え、クリアファイルといった印刷素材にも抗菌加工を加えられることもポイントの一つです。

クリアファイルは多くの用途で使われています。
書類の整理や企画書のファイリングなどは、不特定多数の手から手へと渡りやすいのが特徴です。
クリアファイルといった紙製品でないものにも抗菌加工は可能なので、細菌が出回るのを防ぐためにも抗菌加工を施しておきましょう。

◻︎まとめ

近年、衛生面の問題からさまざまな事件が発生している中、清潔志向・安全志向は高まっています。
このような細菌にまつわる事件に巻き込まれないためにも、抗菌加工された製品を使いましょう。
特に、印刷物は多くの人の手に渡るものなので、抗菌加工を施しておくことをオススメします。

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