印刷で必要なものはなに? パート3

 今回は刷版(さっぱん)についてのお話しです。


刷版とは、

三省堂 大辞林では・・・主として平版印刷で,実際の印刷に使用

印刷関係用語集では・・・下版されたフィルムを焼き付けたPS版などの版。焼き付ける作業。

紙器関係専門用語辞典では・・・刷版とは印刷を行う際、印刷機に直接取り付けられるアルミ板のこと。製版後にポジやネガフィルムを版となる感光性の溶剤が表面に塗られたアルミ版に密着させて感光、焼き付けて作成する。その感光して凸になった部分にインキが付くことにより印刷される。

 

なんて、難しい説明でしょう。これを読んでみて、あぁ
なるほど!と思った型はすぐ

にでも印刷会社に勤められるのではないでしょうか。

 

では、どこまで簡単に説明できるか分かりませんが頑張って書いてみます。

あくまでオフセット印刷ということでいきますね。

 

版は主にアルミの板です。業界的にはPS版といっています。

この版にインキをつけて、版とブランケット(ゴム胴)が当たって転写され、ブランケ

ットから紙面に印刷されるという流れですね。

つまりカラー印刷の場合は最低でもCMYK4色が必要なので、4枚の版が使われる

ということです。それぞれの版には絵柄が写っています。

この絵柄を写す方法を説明するのが少し難しいですが、PS版には感光剤が塗布してあっ

て、紫外線やレーザー光などで感光させて現像をすると、画線部は親油性、画線以外の

部分は親水性の異なる性質を持つようになります。 不思議ですね・・・

 

ちなみにひと昔まえまで(私が入社した時)はネガかポジのフィルムを出力して、PS

に貼り付けて、焼付作業をして、現像液につけて、ガム引きして・・・なんて作業をして

たんです。

写真屋さんを彷彿させますね。

時代も変わり、今ではCTPというデジタルデータを出力機に送るだけで、刷版が出てくる

という時代になっています。

さぁ 先ほど、画線部は親油性、画線以外の部分は親水性の異なる性質を持つということ

を書きました。ここが重要でオフセット印刷の肝となる部分です。

 

オフセット印刷は水と油の反発を利用して印刷しています。

インキは油です。つまり画線部にはインキがつくのです。もう少し説明すると、インキを

つける前に版に水をつけます。 すると画線部以外は親水性が高いのでそこには水が残

ります。その状態でインキをつけると、インキは水にはじかれて画線部の親油性の高い

部分についていきます。この原理が版面で高速で行われて印刷されているのです。

 

でも、最近では水なし印刷という技術も出てきています。この技術は私も体験したことが

ないのですごく興味があります。

 


ということで、パート4は徐々に必要でなくなってきた『水』について説明するよ。


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印刷で必要なものはなに? パート2

~ 印刷オペレーターのつぶやき ~
前回までは、印刷機・印刷の技法を少し解説しました。
今回はインキについて書いていきましょう。
まず、そもそもなぜインキというのか?インクじゃないの?
油性マジックなどはインクといったりしますね。
私も、印刷業界に関わってからインキという言葉を使うようになったので、
もしかすると印刷業に関することはインキ、それ以外はインクというのかとも思ったりしていました。
あれ?インクジェットプリンターはインクっていうなぁ?
正直なところ、明確にインキとインクの違いを教えてくれるものはあまりないようです。
英語の標記もどちらもInkですからどちらが間違いということではないのでしょう。
(私は印刷人なのでインキで今後は書いていきます!)
まず、インキは何でできているか? 
この話になるとちょっと難しくなってブログを見てもらえなくなるので、簡単にだけ説明すると、
①色を着ける役目の 『色料』、
②色料をインキ壷から用紙などに運び固着させる役目の『ビヒクル』
③インキの性能を維持・向上させる役目の『補助剤』
から成り立っています。
この中身のことを説明すると、専門用語ばかりになってしまうので、ここは触れずに今回は、
インキの種類について少し説明しましょう。
オフセットインキの場合、当初は油性インキが主流でした。
いまではUVインキという速乾性対応のインキも出てきています。
弊社もこのUVインキにて印刷を行なっています。
油性インキは絵の具と一緒で、時間が経てば乾燥していきます。
もう少し踏み込んで説明すると、酸化重合による乾燥です。
つまり酸素に触れることで乾燥するのです。
印刷機による印刷では、紙などが印刷されてどんどん積み上がっていきます。
そうすると酸素と触れなくなり乾燥が鈍くなります。
最悪の事態として、裏写り・ブロッキングが発生します。
それを少しでも防ぐために、印刷物と印刷物の間にパウダーを噴射してわずかな隙間をつくってあげます。
それでもインキが乾燥するまで裏面への印刷や、断裁・加工をすることは不可能でした。
ところがUVインキは違います。
UVとはサングラスでもUVカットというように紫外線のことです。
UVインキは紫外線を当てることで瞬時に乾燥するインキのことです。
このインキの登場は飛躍的に作業工程のスピードUPとなり、納期の短縮にも繋がりました。
さらに瞬時に乾燥させることで特殊な素材にも印刷ができるようにもなるとともに、揮発性化合物を発生しないといった環境にも配慮されるようにもなりました。
 でも、世の中にはメリット・デメリットがあるように良いことばかりではありません。
スピードをとれば品質が落ちるトレード・オフの関係のように、油性インキの場合は時間をかけて乾燥するためインキが平滑になり、結果沢が良いといわれています。
ところがUVインキは瞬時に乾燥するため、レべリング(平滑性)が油性インキに比べ悪いといわれています。
さらにはインキも油性インキより高価であり、乾燥装置の設備やUVランプを設置しなければならず、これも高価です。
補足ですが、現在ではLED-UVインキもでています。
照明でもよく使われてだしているLED光源の波長に反応して乾燥するタイプのインキです。
省エネルギータイプとして今後は印刷業界に広まっていくと思いますが、印刷の絵柄を見せているのは紛れもなくインキであり、印刷物をつくることにおいて重要な役割を持っていることは間違いないです。
今回、印刷用インキについてつぶやいてみましたが、次回はパート3として「刷版(さっぱん)」についてつぶやいてみたいと思います。
ちなみに、実はパート4まで予定していて、最後の4つ目が何かは次回に発表するからね(何だろ、ワクワク)
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印刷で必要なものはなに? パート1<続>

前回は印刷で必要なものは印刷機です。というお話しでした。当然他にも必要なものはありますが、この<続>ではもう少し印刷機についてお話ししましょう。
印刷機には技法に合わせて色んな様々な機械があります。そこで印刷技法について紹介していきましょう。

現在の代表的な印刷機は、


1)オフセット印刷・・弊社の印刷機もこちらです。

印刷機には主にPS版といわれるアルミ板をはめるのですが、このPS板にはインキを付着させる絵柄がついていると思ってもらえばいいです。
さらに機械にはブランケットというゴムが付いていてインキはPS版に写り、PS版からゴムに写り、ゴムから用紙に転写されるという仕組みです。
オフセットの原理.gifそもそもオフセット印刷という意味とは?
ということなんですが、オフセットで転写という意味にはなっているのですが、あえてオフ(OFF)・セット(SET)に分けるなら、版からブランケットに移すことをオフ(OFF)・その後ブランケットから用紙に転写(セット)ということで、この名前になっています。輪転機もこの方式での印刷機になります。
ここで版だとかインキのことが少し出たのですが、これはまた今度にしましょう。
 

2)凸版印刷(とっぱん)
版の凹凸を利用して印刷法の一つで、非画線部を凹、画線部を凸にして凸部にインクをつけて用紙に転写していきます。
凸版印刷は、樹脂凸版印刷やフレキソ印刷といわれるものであり、樹脂凸版印刷は、オフセット印刷の台頭で需要は減っているのではないでしょうか。フレキソ印刷は、ゴムや感光性樹脂の版をつかい、刷版にインキを供給する部分にアニロックスロールと呼ばれるローラーを用いて印刷します。段ボールライナー、包装フィルムなどの印刷に使用されることが多いようですが、我が社は正直まだ使ったことが無いです。
 
3)凹版印刷(おうはん)
凸版印刷とは逆で画線部を凹、非画線部を凸にして凸部についているインクを取り除いて用紙に転写していきます。グラビア印刷という言われ方が多いと思いますが、大量印刷に向いているとともに微細な線も表現できるため、紙幣やパスポートなど偽造防止につかわれることが多いです。
 
4)孔版印刷(こうはん)
シルクスクリーン印刷という方が伝わるかな。特殊加工の紙,絹布,金属箔などに大小の孔 (あな) をつくり、この孔からインキを押し出して印刷する。よく比喩的にプリントごっこと同じ理屈ですという説明が多く使われましたが、今ではそのプリントごっこを知っている人がどれだけいるのか・・・
一般商業印刷ではほとんど用いられず、特殊な印刷か軽印刷の分野でつかわれることが多いですね。

5)オンデマンド印刷
on demand をカタカナ読みにしたもの。
コンピュータのデータをそのまま印刷機に送り込んで直接印刷するデジタル印刷技法と同じ意味でいわれてることが多いが、実際は単に少部数短納期をさす用語で、印刷技法ではないらしいです。
ただ実際にそれを実行できる印刷機がデジタル技術を駆使したオンデマンド印刷機と呼ばれる印刷機しかないため、デジタル印刷と同されて使われています。
皆さんに身近なレーザープリンター、インクジェットプリンターなどが、これにあたりますね。
 
ということで、何に印刷するのか?
で使用する機械は大体は決まってくることになりますね。

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印刷で必要なものはなあに? パート1

印刷でどうしても必要なもの・・・


それは印刷機です!(あたりまえですね) 


印刷屋さんでの印刷機といえば皆さんが思い浮かぶのは、テレビでもよく紹介されるロールになった紙を高速で送り出し、新聞を印刷するような大型の印刷機でしょう。

これは輪転機といわれるもので、毎時10数万部を超えるスピードで印刷していくハイスピードマシンです。

今日の出来事を明日の新聞記事に載せるわけですから、当然求められるのはスピードなので早ければ早いほどOKです。

今日の出来事の記事をギリギリまで待つ、新鮮な情報を皆さんにお伝え出来る。読者の方々のために新聞各社は常にそれを考えているはずです。


輪転機のお話しはここまでにして、印刷屋さんドットコムでは輪転機のような大型の印刷機は使用しておりません。

使用しているのは枚葉印刷機といわれる機械です。書いてある通り、


枚葉紙印刷するための機械です。


ここで疑問が出てきますね。それは枚葉紙とはなんだということです。

枚葉紙とは規格寸法に切りそろえられた用紙のことです。

簡単に言うと、ロールになっている紙ではなく綺麗に四角形に切られた紙のことであり、1枚づつ紙を通して印刷していく印刷方法です。

輪転機より当然スピードは落ちますが、ある程度の枚数であれば枚葉印刷機の方が早く綺麗に印刷することが可能です。


それはなぜか?


印刷するにはセット(準備)が必要で、輪転機よりも断然枚葉機の方が早いからです。

 つまり、印刷枚数によって機械を使い分けるわけですね。


印刷屋さんドットコムでは、この枚葉印刷機がフル回転してお客様からご注文頂いた商品を生産しているわけです。

 

とはいえ最近はITの普及から、デジタルデータをそのまま印刷するという概念が生まれてきました。

家庭でもお持ちのインクジェットプリンターもその一つでしょう。

高速のレーザープリンターは印刷機ほどの綺麗さとスピードはないですが、


『何かに印刷する』


という概念でいえば、印刷機です。

特にデジタルプリントの強みは小部数の印刷なら短納期が実現可能で、しかもデジタルデータから出力するので11枚違った印刷物もプリントが可能だということです。

 

つまり『印刷』という概念を何かに色をつけることで定義したなら、何かに色をつけることを人の手で行わず、何らかの形で機械で行えるならば、それは印刷機と言えるのではないでしょうか。


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